50後半オヤジのオーストラリア一周 アドベンチャーツーリング  ~ダーウィン⇒ブルーム(ギブリバーロード)~

2023年11月28日ツーリング

50後半オヤジが一念発起で挑むオーストラリア アドベンチャーツーリング。
2023年9月からオーストラリアに滞在してツーリングを実行。
本番編では、その内容をレポートします。

10/8 西オーストラリアに向けて出発

ダーウィンから西オーストラリアに行くには、来た道を300kmほど戻る必要がある。キャサリンという小さな町があり、西オーストラリアに向かう国道の別れ道となっている。
今日はそこのキャラバンパークに泊まることにした。
最初に行ったキャラバンパークでは大人一人30ドルと言われ、これまでの最高額。キャラバンパークには、電源コンセントが各サイトについているパワーサイトと電源無しのアンパワーサイトというのがある。アンパワーサイトで30ドルはちと高いと思いいったん躊躇すると、そこの管理者が「近くに少し安い別のキャラバンパークがあるよ、大した設備ないけどね」とのこと。
大した設備なんて必要ないので、お礼を言ってそちらのキャラバンパークへ。
家族経営の小さなキャラバンパークだったが、パワーサイトしかないが25ドル/泊とのこと。
全然OK。おまけに電源まであるのでモバイルバッテリーもフル充電しておけるし有難い。

おまけに冷蔵庫もある。これで冷たい飲み物もいつでも飲める。ありがたや~。

本日の走行距320km(Darwin ~ Katherine)

10/9 ギブリバーロードの玄関口カナナラ

今日は、キャサリンから西へ約500kmのカナナラという町を目指す。
この街は、ギブリバーロードの東の玄関口の街で、ここで燃料、水、食料を確保できる最後の町。

カナナラへ向かう途中、ノーザンテリトリーと西オーストラリアとの州境を通過。検問所で野菜や果物など持ち込めないものはないか聞かれ、ノーと答えると笑顔で通してくれた。

西オーストラリアへの検問所

更に西へ向かいカナナラのキャラバンパークに到着。テントを張った後、受付のお姉さんにギブリバーロードの途中の燃料補給箇所について聞いてみる。
すると、最初の80km時点にある給油所は雨季のため閉鎖されているとのこと。
次にある給油所は320km先になるらしいが、念のため出発前に電話して営業しているか確認しておいた方が良いとのこと。つたない英語力ゆえ、電話でのやり取りが不安だが、そんなことも言ってられないので、明日電話すると決めて今日は早めの就寝。

本日の走行距513km(Katherine ~ Kununurra)

10/10 いざ、ギブリバーロードへ

朝食を食べた後、早速ロードハウス(給油所)に電話してみるが留守電。まじか~。でもここまで来たら行くしかないと腹を括り、水13L、食料、ガソリンタンク満タンにジェリ缶に5Lをバイクに搭載し出発。さすがにバイクが重い。こけたら間違いなく荷物を全部降ろさないと起こせない。
相棒のバイクはガソリン満タンに予備燃料5Lだと通常通りに走れれば500kmは走れる。
心配なのは、700kmのダートなので、ギアを落として走ったりして燃費が悪化する恐れがあること。それと、もし320km地点の給油所が閉まっていたら、その時点でアウト。かなりの不安を抱えながらギブリバーロードに向かった。
しばらく走るとギブリバーロードの入り口に到着。

一応、道路閉鎖はない模様。
ギブリバーロードに入ってしばらくは快適な舗装路。評判の悪路も少しづつ舗装されていくのだろうか?

さらに走り続けると、”グラベルロード注意!”の標識が。いよいよ過酷なダートとの闘いが始まる。少し進むと早速川渡りのお出迎え。水深は大したことなさそうだが、川底が見えない故、どこを選んで走ればいいのか分からず、ギアを1速まで落として突入。大きめの石がゴロゴロしていてハンドルが振られる。やばいと思いながら加速して一気に通過。何とかこけずに通過できたが、靴とズボンは水浸し。まあ、暑かったので水浴びにはちょうど良かったかも。

さらに進むと、今度はコルゲーションと呼ばれる洗濯板のような波状路面。噂には聞いていたが、とんでもない振動。まともにシートに座ってられないのでスタンディングポジションで走行。どこかでフレームが折れたというような話も聞いたが、納得。マジでバイク壊れるんじゃないかと思うくらいの激しい振動。これがこの後数百kmも続くと思うとこの道を選んだことを少し後悔した。でも、今更引き返せない。行くしかない。このコルゲーション、タチの悪いことに低速で走ると超激振動。70~80km/hぐらいスピードを出すと振動がかなり和らぐ。しかし、これがくせもので、スピードを上げると今度は急な路面変化に対応できない。たまに現れる砂だまりに高速で突っ込み、何度もこけそうになる。
すれ違う車もほぼなく、何かトラブルが起きたらどうなるのだろうか?そんな思いが頭をよぎる。日本で林道を少しかじったぐらいのテクニックで本当にこの道を走破できるのか非常に不安になった。
何度かヒヤリとしながら、本日予定していたキャンプ場へ向かう分岐まで来た。少しほっとしたが、実はこの後がさらなる苦難が。路面がブルダストと言って、深いさらさらの砂だまりの道だった。
オフロードバイクに乗る人はこの砂だまりが苦手な人が多く、自分も同様。フロントタイヤが流されこけそうになるし、リヤタイヤは空転して進まない。たった数キロのこの道が疲れた体にはとても長く感じた。

本日の走行距230km(Kununurra ~ Ellenbrae Station)

10/11 180キロ先の給油所へ

朝起きて、涼しいうちに走ろうと朝食も取らずにテントを撤収し、予備燃料をタンクに入れ、次のロードハウス(給油所)目指して出発。給油所までは180キロ。ロードハウスが開いていれば確実に走れるだけの燃料はある。
今日の路面もコルゲーション、轍に潜む砂だまり、道路を横切る川渡りと、まるでロールプレイングゲームの障壁が次々と現れる。
3時間ほど悪路と格闘し、ようやくロードハウスへ。開いてるかな?ドアのところに行くと鍵が閉まっている?マジ?Googleマップで8時から開いているとの情報を信じてきたのに。いや、ドアに張り紙があるぞ、よく見ると雨季シーズンは10時開店とのこと。良かった~。あと30分くらいあるけど全然待てる。ごゆっくり開店準備してください。
安心したところでバイクを改めて見ると、砂というか土だらけ。バッグは元の色が分からないぐらい変わっていた。

ロードハウスが開店すると、腹が減ってきた。そういえば朝飯も食ってなかった。
サンドイッチと冷たいコーラで喉を癒す。この店のコーラは、多分世界で一番うまいコーラだと思う。タンクとジェリ缶にガソリンを満タンにして、再び出発。
今日の宿泊地はここから70km先のキャンプ場。舗装路なら一日で500kmくらいは走るのだが、さすがに50代後半オヤジにはこんなダートで1日に300キロ以上は無理なので、ここは余裕を持っておく。
再び悪路と闘いながら次のキャンプ場に到着。しかし、なんとここも雨季のため閉鎖。全然雨降ってないじゃん、と文句を言っても始まらない。ドアの前で呆然と立っていると、ヘビーデューティー4WDの車に乗った2人が同様にやってきた。「閉まってるみたいよ」というと、「オーマイガー!お前大丈夫か?」と言って立ち去った。さあどうするか、ここで野宿するか、それとも先に進むか。こんな暑いところで野宿はきつい。このあと悪路を走るのもきついが、走行中はまだ暑さが和らぐので腹を括り先を目指すことした。
それにしても暑い、いや熱い。気温は優に40度越え、ドライヤーの熱風を浴びてる感じ。暑さに加えて喉の渇き、転倒やパンクの不安、なんか冷静に考えるとなんでこんなことやってるのだろうかという思いが頭をよぎる。でも、そんなこと言っても始まらないし、引き返すこともできない。そもそも自分がやりたいと言って始めたこと、ここまで来たら走りきるしかない。そう言い聞かせながら走り続けた。

こんな道が延々と続く。

コルゲーションも前半に比べたら少しマシになってきたような。それとも慣れてきたのか。

何時間走っただろうか?目の前に舗装路が見えてきた。
よっしゃー、ギブリバーロードを50代後半オヤジが完全単独走破!
心の底からほっとした。何とか走りきれた。今まで日本では未舗装路を探しに色々行ったが、今ほど舗装路が愛おしく思ったことはない。何とも言えないこの安心感。
ギブリバーロードの西側玄関口であるダービーという町に到着し、町で唯一のキャラバンパークに到着。するとなんとここも閉鎖中。本日2回目のハシゴ外し。
もうこうなったら開いているキャンプ場かキャラバンパークがあるまで走ってやる、と再び走行。そこから50km離れたところにロードハウス兼キャラバンパークがあった。これまた便乗価格の38ドル/泊、最高額更新。もう暗くなってきたし選択の余地なしでここに泊まる。オーストラリアでは夜間走行はバイクにとって命とり。カンガルーなどの動物が夜行性で車のライトめがけて飛び出してくるので、絶対に夜は走れない。これまで道路には数えきれないほどの無数の動物の死骸があった。動物を殺したくないし、自分の命も捨てられない。夜は走らない。

この日はクタクタで夕食を作る気力もない。テントを張ったらロードハウスのハンバーガーとコーラを買って取り敢えず胃袋を満たし、速攻眠りについた。

本日の走行距離520km(Ellenbrae Station ~ Willare)